LIFEライフ 栄養

栄養セミナー編
~勝つために食べる食事とは?~

無断転載禁止 栄養セミナー編<br>~勝つために食べる食事とは?~
取材・文/池田敏明、写真/野口岳彦

前回ご紹介した藤枝明誠高校での取組の中にあった栄養セミナーの詳細をリポート。
「カラダづくりのため、試合に勝つために、日々の食事がどれだけ重要なのか」がわかる。

全部員が参加した栄養セミナー

藤枝明誠高校は株式会社 明治の協力の下、栄養士を招いての栄養セミナーを定期的に実施している。今年度は全部員を対象にした「勝つために食べるサッカー選手の食事」と題したセミナーを開催した。今回はそのセミナーの内容を元に、成長期のアスリートにとって栄養バランスの取れた食事を摂ることがどれだけ大切か、カラダづくりに必要不可欠なたんぱく質の効果的な摂り方などを解説しつつ、セミナーの様子を紹介する。

セミナーの要素は、大きく分けて次の4つ。

藤枝明誠高校
セミナーに参加した選手たちは、メモを取りながら、あるいは重要なポイントにマーカーでラインを引きながら、真剣な表情で栄養士の話に耳を傾けていた。1年生にとっては、知らない内容ばかりで驚きも多かったはずだ。

⒈サッカー選手に必要な栄養素とは?

「集中力が切れる」や「試合の後半になるとバテる」、「当たり負けする」、「ケガが多い」、「冬になると風邪を引きやすい」、「貧血気味」といった課題や問題点は、多くの高校生プレーヤーが直面するものだろう。これらはすべて、食事に気を遣うことで改善することができる。

5大栄養素と働き

まず、エネルギーを蓄え、強いカラダをつくり、コンディションを整えるためには、5大栄養素をバランスよく摂ることが何よりも大切。試合で最高のパフォーマンスを発揮するためには、日頃のトレーニングだけではなく、栄養補給にも気を遣わなければならない。


⒉「栄養フルコース型」の食事で問題を改善

その方法とは、5大栄養素と呼ばれる炭水化物(糖質)、脂質(脂肪)、たんぱく質、ミネラル、ビタミンの5つが入った「栄養フルコース型」の食事を摂ることだ。「栄養フルコース型」の食事とは、主食、おかず、野菜、果物、乳製品が含まれた食事のことで、これを実践すれば5大栄養素をバランスよく摂取することができ、上記の課題や問題点を改善させることができるのだ。

「栄養フルコース型」の食事

主食、おかず、野菜、果物、乳製品が含まれた「栄養フルコース型」の食事の一例。高校生プレーヤーの場合、野菜、果物、乳製品が不足しがちになるので、日頃からこれらを摂るよう心がけたほうがいい。毎回の食事でこれだけのものを摂るのは難しいと思うので、野菜は果汁の入っていない野菜ジュース、果物は100%オレンジジュースやグレープフルーツジュースで代用してもよい。


⒊たんぱく質とプロテインの活用

5つの栄養素はどれも非常に大切なものだが、成長期のアスリートの場合、カラダづくりに必要なたんぱく質の重要性が高い。カラダの筋肉は、水分を除くと80%以上がたんぱく質でできている。そして、トレーニングをした後は筋肉が破壊されてしまうため、エネルギーとなる炭水化物と、筋肉を修復するためのたんぱく質を、運動後30分以内の“ゴールデンタイム”に摂取するのが理想的とされている。

また、1日に必要なたんぱく質の量は、アスリートの場合は「自分の体重1kgあたり2g」とされている。体重60㎏の選手の場合、120gのたんぱく質を摂取しなければならず、これはステーキなら約4枚、目玉焼きなら約20個と、かなりの量に相当する。これだけの量を摂取すると脂肪分の過剰摂取にも繋がる恐れがあるため、脂肪分を抑えながら効率的にたんぱく質を摂るためには、プロテインを活用するといい。

たんぱく質の必要量

プロテインは英語で「たんぱく質」を意味する言葉。カラダづくりに必要なたんぱく質を手軽に、効率よく摂取できるのが特徴だ。

飲むタイミングとしては、トレーニング後30分以内の“ゴールデンタイム”、おかずが少ない食事の時などが挙げられる。また就寝の1~2時間前に飲むと、筋肉を修復してくれる成長ホルモンの分泌が促される効果も期待できる。プロテインは1日2回、飲むことが理想とされているので、トレーニング後30分以内に1回と、食事の時、あるいは就寝前にもう1回飲むようにすると、より効果的にたんぱく質を取り込むことができるだろう。

最近では牛乳で溶いて作るタイプ以外に、水で溶くタイプもあり、水分補給とたんぱく質の摂取を同時に行うことが可能になっている。フレーバーも多様化しており、飽きずに続けるための工夫が凝らされている。種類が多いために何を選ぶべきか悩んでしまいがちになるが、練習後は疲労回復作用のあるクエン酸が配合されているものが、部活生にはおすすめだという。

手軽に摂れて、栄養バランスも抜群
セミナーでも試飲の時間が設けられ、選手たちからは「おいしい」、「飲みやすい」といった声が多く聞かれた。

⒋水分補給はミネラルも同時に!

最後には「水分補給について」の講義も行われた。藤枝明誠高校は人工芝グラウンドを使用しているため、普段の練習で水分補給をする時は水を飲用している。

ただ、汗をかいた時には水分に加えて電解質(ミネラル)も同時に失われてしまう。その際に水だけで水分補給をすると、カラダは体液(水分+電解質)の濃度を一定に保とうとするために水分が汗や尿として排泄され、結果的に体液不足に陥ってしまう。

これを回避するためには、ミネラル分が含まれたスポーツドリンクなどを、練習の前後に飲んでおくのがいい。

また、水分補給をする際は、以下のポイントにも留意してほしい。

  • ①5℃~15℃程度に冷やしたものを!
  • ②お茶や水だけでなく、ミネラルを含むスポーツドリンクを!
  • ③練習前にもしっかり水分補給を!
  • ④喉が渇く前に、こまめに少しずつ!

自分で考え、やるべきことを自主的にやる

セミナーの最後には松本監督自らがマイクを握り、選手たちに自身の経験も踏まえてこう語りかけた。

「栄養セミナーをしていただいたが、教わった内容を実践するかしないかは自分たち次第。チームの中で真剣に取り組んでいる選手もいるけど、彼らは今ではチームに不可欠な存在になっている。こちらから『やれ』と強制することはないけど、君たちの今後の財産になるようなことの提案はするので、本気でカラダづくりに取り組みたいと思うのであれば、将来の事や上を目指すのであれば自分で考えて取り組むようにしてください」

最後は松本監督が総括
最後は松本監督が総括。

今回のセミナーで、選手たちは今の自分に何が足りないのか、カラダづくりのためには何が必要なのかが理解できたはず。松本監督が最後に問いかけたとおり、「実践するかどうかはすべて自分次第」。これからさらに成長していくために、今、何をすればいいのか、自分の描いた未来に向かってなりたい姿を想像し、それぞれが考えて正しい行動をしてほしい。

本日のまとめ

セミナーを受けてのコメント

1年生の時に同様のセミナーを受けた経験がある山下航平選手(3年/DF)は、セミナー終了後に「食事の大切さを改めて感じました」と語ってくれた。

山下航平
食事の重要性を再認識したという山下選手。今後の目標も明確になったようだ
山下航平(3年/DF)

「果物を摂るためにオレンジジュースは意識して飲んでいたんですけど、朝食はそれほど重要視していませんでした。バランスよく食べていなかった。今後は栄養バランスを考えた食事を心がけて、試合の後半に体力がなくなったり、当たり負けしたりしないようなカラダづくりを目指していきたいです」

また、半田彪人選手、片倉誠悟選手も、セミナーを受けて今後、自分が何をすればいいのかがはっきり分かったようだ。

半田彪人
半田彪人(3年/DF)

「主食は十分に摂っているのですが、果物や乳製品はあまり摂っていないので、増やしていきたいです。高校生活はあと少しで終わってしまいますが、大学に行ってもサッカーを続けるつもりですし、母親に協力してもらいながら自分のカラダをつくり、もっともっと成長していきたいです」

片倉誠悟
片倉誠悟(3年/DF)

「野菜や乳製品は親が意識的に出してくれますし、果物も日頃から摂るようにしているので、バランスはいいと思います。ただ、量が少ない。特に炭水化物が足りていないと実感しました。食が細いほうなのですが、サッカーをやっている以上はカラダのことをしっかり考えて、炭水化物やたんぱく質をもっと摂ったほうがいいと思いました。今回のセミナーで学んだことを生かして、足りないものを食事で補いながら、もう一段上のカテゴリーでプレーできるよう成長していきたいです」

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