PICK UPピックアップ インタビュー

浅野拓磨SPECIAL INTERVIEW
高校進学は“人生のターニングポイント”だった

無断転載禁止 浅野拓磨SPECIAL INTERVIEW<br>高校進学は“人生のターニングポイント”だった
インタビュー・文/編集部、写真/金壮龍

四中工に入って、「(プロに)なりたい」は「ならなくてはいけない」になった

日本代表のスタメンとして定着し、ドイツ・ブンデスリーガのシュトゥットガルトでプレーする浅野拓磨。全国高校サッカー選手権には3年連続で出場し、2年次には7ゴールで得点王にも輝いている。
7人兄弟の大家族で育った浅野にとって、四日市中央工業高校への進学は、まさに人生の分岐点であった。

子どもの頃から、サッカーは楽しくて好きなものだった

─サッカーを始めたのは小学校1年生から?

「はい、兄貴が2人いるんですけど、物心ついたころからサッカーをしていました。保育園で同い年の友達もサッカーをしていて、そいつの両親から薦められたこともありますし、生活の周りにサッカ ーがありましたね。所属したクラブも勝ち負けより楽しむことに重 点を置いていたので、僕にとってサッカーは楽しくて好きなものでした。小学校のころから勝ちを求めるチームは、縦にボールを放り込むだけで『楽しそうじゃないな』と(笑)。僕らのチームは、まずドリブルをすることから教えてもら って、『クリアするくらいなら、取られて失点したほうがいい』という方針でした。だからこそ、勝てたときの喜びは格別でしたし、技術もすごく磨いてくれて、一つひとつのプレーができるようになる喜びも教えてもらいました」

─サッカーが楽しいものから、プロを目指すものに変わったきっかけは?

『将来の夢は?』と聞かれたとき、僕は常にプロのサッカー選手になりたいと言っていました。でも、それを本気で目指す気持ちになったのは、高校への進学が一番のタ ーニングポイントだったと思います」

Photo : Masashi Adachi
人生の進路を決める決断となった四日市中央工業高校への進学は、自らの力で正しい道とした。
人生の進路を決める決断となった四日市中央工業高校への進学は、自らの力で正しい道とした。

プロになるために、両親は自分にすべてを懸けてくれた

プロ選手を30名以上も輩出する名門校・四日市中央工業高校(四中工)へ進学したきっかけは?

「僕は7人兄弟の大家族ということもあり、家庭の事情を考えると四中工には『行きたい』じゃなく『行けない』と思っていました。中学の顧問の先生は、僕が四中工に行きたいことを把握されていて、『両親に我慢してもらって、3年後に返していけばいいと』とおっしゃっていただき、僕の心は大きく動きました。それは四中工に入って、『自分の力でプロになれ』という意味だと。何かの事情のせいにするのではなく、3年間、必死で頑張ればいいんだって……。自分の中で可能性が見えました。高校に入ってから、両親からは親孝行をしてもしきれないくらい世話になったと思います」

─ご両親のサポートなしには今の浅野選手はないと。

「はい。両親は自分にすべてを懸けてくれました。だから『プロになれなかったらどうしよう』なんて考えもしなかったですね。それが当たり前のことであり、そのために四中工でサッカー漬けの日々を過ごしました。その過程で『(プロに)なりたい』は『ならなくてはいけない』になりました。だからこそ、中学校の先生にも感謝しています。あの一言がなければ、自分は今何をしているのだろうと思うことがあります」

──名将・樋口士郎監督から教わったことはありますか?

「あまり多くを語る監督ではなかったですが、だからこそ、自分たちで考えて、自分たちはどうすれば上にいけるのか、を考えさせてくれたと思います。四中工には、樋口監督が掲げる『誰からも応援されるチームであろう』というチ ーム理念があります。それが自分のなかで大きく響いたというか、常に意識していた考えの一つです。その為には私生活の面でもしっかりしないといけないですし、自分を律しないと、周囲から応援を得ることはできないですからね」

Photo : Getty Images
2016年10月のブンデスリーガ2部、第11節カールスルーエ戦では移籍後初ゴールを挙げた。
2016年10月のブンデスリーガ2部、第11節カールスルーエ戦では移籍後初ゴールを挙げた。

「目の前のことを全力でやる」ことの意味を選手権が教えてくれた

─全国高校サッカー選手権では3年連続で出場し、2年次には準優勝、得点王に輝きました。

「3年間、選手権の舞台を経験できたのは大きかったです。1年次は途中出場でしたけど、一回戦で負けてしまって、1年ながら非常に悔しい思いをしました。だからこそ、僕らが2年になったときにチームを大きく変えたんです。それまではゲーム中でも『〇〇さん』って言っていたくらいで、そんな先輩と後輩の垣根をなくそうと。全員で戦うというテーマのもと、チームは決勝にまで行くことができました」

─素晴らしい結果以外に、選手権で得られたことはありますか?

「目の前のことに100%でやることの重要性を知ることができまし た。『このチームで1試合でも多くやりたい』という思いから、優勝を目指すよりも、目の前の試合に集中して臨みました。『このチームが好きだから、ここで終わりたくない』と。2試合連続でロスタイムに追いついてPKで勝ったのも偶然じ ゃない。あのチームだから起こり得たドラマだと思います。“目の前のことを全力でやる”というのは、言葉にすると簡単ですが、その重要性を選手権で感じることができました。それがあったからこそ、今の僕があるんだと思います」

浅野拓磨
浅野拓磨 TAKUMA ASANO
1994年11月10日生まれ、三重県出身。
四日市中央工業高校で高校サッカー選手権に3年連続で出場。2年次の第90回選手権では、史上4人目となる初戦から決勝まで全試合で得点を挙げ、7ゴールで得点王に輝く。'13 年、サンフレッチェ広島とプロ契約。'16 年にアーセナルに移籍直後、シュトゥットガルトへ1年間の期限付き移籍。

CONTENTS新着記事一覧 Readmore

最新コンテンツをもっと見る

NEWS最新ニュース Readmore

最新ニュースをもっと見る